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352 羽賀友信さん かく語りき「第八話 顕在化する平時からの問題」

長岡市国際交流センター長 羽賀友信(第8話)

 新潟県中越大震災20年プロジェクト事務局(中村早希・諸橋和行)

 
被災者の皆さんからいろいろとアンケートをとったら、

家庭内の差別ってのも結構あるんですよ。

フィリピンの人が固まってたんで、僕らがタガログ語を喋れる人連れてったら、
「タガログ語はやめて」って言われた。
どうしてって言ったら、旦那さんが家庭内でフィリピンの奥さんを下に見てた。
「英語をしゃべればかっこつくから家では英語以外は喋るなと言われてます」と。
そういうのがいっぱい出てくるんですよ。

アンケートで分かったもう一つは、外国人の16%しか避難所に入らなかった。
理由は、外国人は駄目だと思った。お金を取られると思った。日本人だらけで怖かった。

例えば、発達障害の中でも自閉症の人って、現実的には避難所に入れない人なんです。
実際、アメリカ人の家族でいたんですけど、やっぱり自らもう引いちゃうわけで、
行き場がないんですね。子どもがパニックになる。
だからそういう人たちに対応できる、
同じ課題を持ってる日本人がNPOとして相談にのったり、
別個に避難所を作って対応したりしました。

行政は福祉避難所というくくりにしたけれど、それじゃ駄目なんです。
例えば受験生はどうするのかとか。
だから受験の子たちには僕ら部屋を特別に借りた。
そのときは中国残留孤児のお子さんだったんだけど、
非常に難しい問題が初めてそのとき顕在化した。
これは全く議論してないことなんで、別個にしないといけないですね。

長岡市国際交流センター長 羽賀友信(第8話)

 新潟県中越大震災20年プロジェクト事務局(中村早希・諸橋和行)