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347 あれから20年 食の備えは変わったか「宇宙食」

一般社団法人日本災害食学会 副会長 別府 茂(第14話)

 
大規模地震の被災者、特に住家が全半壊した被災者には戻る自宅はなくなり、
避難生活は数ヶ月にも及びます。
その間、買い物に自由に行けるものではなく、
救援物資に頼る生活が続き、電気、水道の使用も大きく制限されます。
このため、災害食が開発されてきました。

一方、国際宇宙ステーションでは、滞在は6ヶ月にも及び、
ステーションのドアを開けてコンビニに行くことはできず、
調理方法も限られ、食料は運んでいくほかありません。
このため日本人宇宙飛行士のために宇宙日本食が開発されています。

このような類似があることもあって、
宇宙日本食認証食品が日本災害食認証申請を行う場合、
審査項目の一部が省略されることになりました。
このことから、宇宙日本食が地上生活で、
被災者のために利用が促進されることが期待されています。

将来、避難所のお年寄りが食べている災害食と同じ食品が
宇宙ステーションや月で食べることになるかもしれません。
20年前の中越地震で経験した困りごとは、解決に向かうだけでなく、
更に発展しつつあると感じます。

一般社団法人日本災害食学会 副会長 別府 茂(第14話)