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258 中越から能登へ ④ -「仮設住宅間の住み替え制限」の緩和で2次避難・みなし仮設住宅からのふるさと回帰を-

公益社団法人中越防災安全推進機構 理事長 中林一樹(第16話)

(新潟県中越大震災20年プロジェクト 実行委員長)

 

新潟県中越地震で全村避難した山古志の被災者は、
村を孤立化させた道路整備と住まいの再建を経て3年後に山古志に戻ってきた。
車で1時間以内という近傍であり、元々通勤していた長岡市に若い世帯が居を移したが、
多くの人が山古志に戻った。

災害救助法では、応急仮設住宅間の住み替えを原則禁止しているが、
能登の人口過疎化と加速的な高齢化の進捗を緩和するためにも、被災地外に出た
みなし仮設住宅や公営住宅の例外措置による入居被災者に対する特例として、
法が規定している震災後2年を経過した場合や、
被災元自治体内の応急仮設住宅の空住戸が生じた場合には、
その仮設住宅への“住み替え”を許容する特別措置を認め、
復興の拠点となる仮設住宅の柔軟な運用を講じることが重要である。

それは、避難所や応急仮設住宅の開設期間は、
復旧等の進捗状況により延長される法的根拠となっている、
「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図る特別措置法」の主旨にかなう、
「遠隔地のみなし仮設住宅やから被災地近傍の仮設住宅への転居」を可能とする、
“被災者の復興に取り組む権利”でもあろう。
その引っ越しや帰郷の交通費にも支援を工夫すべきであろう。

公益社団法人中越防災安全推進機構 理事長 中林一樹(第16話)

(新潟県中越大震災20年プロジェクト 実行委員長)