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232 今考えて思うこと(第7話)

長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第7話)(前三条市立第四中学校 校長)

 

2015年から2017年の3年間、
当時群馬大学教授であった片田敏孝先生、金井昌信先生が主宰された
防災教育推進連絡協議会に、全国で先進的な防災教育に取り組んでいる学校、教師が集められた。
そのような会に恥ずかしながら私も参加させて頂いた。

最終年度に成果報告会があり、私とともに能登町立小木中学校の大句わか子先生が発表された。
その時、大句先生が「やがて能登にも東日本大震災のような津波が来る。
その時のために着実に防災教育を推進したい」とおっしゃった。
その時は想像もしなかったが、そのわずか6年後に能登半島地震が起こり、能登町も大きな被害を受けた。
私はすぐに多くの情報媒体を使い、可能な限り小木中学校の状況を調べたが、知ることができなかった。
少なくとも6年前まで津波に関する防災教育を熱心にされていた事は確かで、
それが継続されていたのか、継続されていたのなら今回の地震で活かされたのかどうか今も分からない。

全国のどこで、いつ、どのような大災害が起こるのか分からない昨今、
命を繋ぐ防災教育は防災のソフト面としてその価値は年々高まっている。
一方で、社会の関心の高まりは残念ながら感じられない。
学校を含めた社会に向けた防災教育の在り方を、
一度リセットして問い直す必要があるのかもしれない。

【執筆】
 長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第7話)(前三条市立第四中学校 校長)