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228 被災現場の人と人(その2)

中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第4話)

 

あの日の深夜、月明かりの空は、冷えてきていた。
1階が倒壊した衣料品店フクヤは、
崩れた店先から出せるだけの毛布などを持出し、次から次へ。
この店舗は、1階売場に店員と客が閉じ込められ、
自力で脱出したばかりであった。

食料品店安田屋も、店内外に散乱した飲料品等を
集めるだけ集め、次々に配っていた。
さらに、菓子店舗龍昇堂から
翌日に備えて準備した法事用式菓子が提供されていった。

繰り返す余震、目の前の倒壊家屋、傾いた電柱やブロック塀、
そして、垂れ下がった電線。
多くが夕食もとることなく外に飛び出し、
自宅に戻れず肩を寄せ合う町民にとって、
「お互い様」では言い尽くせないこうした地域の助け合いは、
余震に大きな声が出たその夜、大きな力、支えとなっていた。

職員が集まる場に、地域の状況が少しずつ入って来た。
川口町各地区と連絡が取れない、その状況が分からない。
隣接する町に繋がる国道が両方向で不通となり、
通行中であった車両も動けないでいる。

誰も眠れない夜が続くこととなった。

【執筆】
 中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第4話)