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203 地球の裏側で(その4)

中越市民防災安全士会 会長 岸和義(第4話)

 

長岡の本社工場の様子が分かるに従い、
「まずは日本の取引先の生産ライン優先」であり、
海外向けの部品、製品の輸出は後回しが必然であることを理解しました。

日本の主要顧客である自動車メーカー、二輪車メーカは
自社の生産ラインの稼働維持のために長岡の本社工場に従業員を派遣し、
生産、加工、更に設備復旧の手伝いまでして頂いているのです。

とりあえず、海外後回しの方針の中で、頼りにしたのは物流の変更でした。 
従来は横浜からサンフランシスコなどまで船で運び、
陸揚げ後は大陸を横断し、オハイオまで運んでいたのですが、
この一か月かかる船をメインにした物流を飛行機に切り替えることにより
約一か月物流リードタイムが短縮できるのです。
お金で時間を買う、と言う事です。

この様にして、回復し始めた長岡の生産計画に海外向けのものも組み入れてもらい、
飛行機でつなぐことにより最悪の事態を免れる事はできました。

地球の裏側からではありましたが、日本のモノづくりの災害時における修復力
(部品メーカの備えと自動車メーカ等大手メーカのサポート力)の
すごさを感じ取った次第です。

【執筆】
 中越市民防災安全士会 会長 岸和義(第4話)