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196 被災現場の人と人(その1)

中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第3話)

 

あの日、余震と多くの叫び声の中、
街灯も消えていたが、街中の様子はハッキリ見えていた。
雨は無く、月明かりが、揺れる倒壊家屋や、
その屋根の上で救助活動する消防士達の姿をハッキリ見せてくれていた。

余震の続く中、川口町役場庁舎前の駐車場に多くが集まっていた。
そこに数人の町職員や消防署職員と共に集まった。
庁舎内は、机などが散乱し入れる状況にはなく、
屋外で集まって情報を共有し始めた。

その後、順序も時間も忘れたが、
パイプ椅子、机、テントが出てきて本部を形作っていった。

地域内で家屋倒壊による人的被害も発生した。
帰ってきた消防士の顔は黒く、表情は無かった。
祖父と共に命を落とした小学校6年生の彼女の名前は、
地域の者は今も忘れない。
当時の教職員は、長くその命日に手を合わせていると聞いた。

【執筆】
 中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第3話)