· 

162 被災地の人々(その2)

中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第2話)

 

余震の中、倒壊した家の1階に人が居る。
人の手が必要。人々が避難した川口役場前に助けを求めた。
駆け付けていた小千谷市消防署川口出張所の瀬沼隊長ほか4名に助けを求め、
倒壊現場に急ぎ戻った。

消防士は倒壊した家屋の屋根に登った。
「チェーンソーを探して」の声に、避難していた渡辺昇平氏(渡辺建築)に協力を求め、
建築事務所へ。余震を恐れながらも、足の踏み場もなくなった作業場、
乱雑に崩れた工具類の中からチェーンソーを探し出した。

渡辺氏は消防士と共に揺れる屋根に登った。
繰り返す余震が、屋根の上の消防士達を激しく揺する。
彼らの救出活動は今も忘れない。

閉じ込められた二人の居る部屋の位置を特定できた事など、「近所の知恵」もあって、
助け出された二人は、翌朝、役場前駐車場の避難者となっていた。

【執筆】
 中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第2話)