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159 今考えて思うこと(第5話)

長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第5話)(前三条市立第四中学校 校長)

 
被災直後、伏し目がちに過ごす住民の方や子ども達を見ながら、
子ども達や地域のために、学校ができることはないのだろうかと考えるようになりました。
そして、家を失い地域を失った子ども達に未来を考えさせることで
新たな希望を描いてもらえるのではないと思いました。

しかしそのような学習プログラムは日本はおろか世界にも存在しません。
一から作る必要がありました。

そこで、私の中学校時代の恩師であり社会科体験学習の第一人者であった
小森ケン子先生に相談に行きました。
先生はすでに退職されていましたが、一緒にやりましょうと力強く言ってくださいました。

さらにその構想を当時校長をされていた藤林壽一先生に話すと、
理解し支援してくださり、学習プログラムを「太田学」と名付けてくださいました。
その後、太田中学校の総合的な学習の時間は太田学で進められました。

後年、学術誌に投稿しましたが、この学習によって子ども達の心理的ストレスが軽減され、
精神状態が安定した事が確認できました。
子ども達がメンタルに問題を抱えた時の対応として、
カウンセリング等の受動的対応は必要ですが、
主体的に行動する能動的対応も同じくらい重要なのだと思います。

個人的感想ですが、能動的対応の方がより有効だと思いますが、
そういった対応が未だ社会では認知されていないように思います。

【執筆】
 長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第5話)(前三条市立第四中学校 校長)