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158 図書館との連携(その2)

福島県立博物館 主任学芸員 筑波匡介(第8話)(元中越メモリアル回廊担当職員)

 
メモリアル回廊は長岡市、小千谷市、旧川口町、旧山古志村と各地に施設を検討していました。
点在する施設に人々が周遊できるか想像できませんでした。
単純に一筆書きをしても100kmを超える回廊です。

そのため被災地連携企画展を企画し、試行的に各施設予定地で展示会を実施してみました。
この連携企画展は様々な団体、企業にも参加していただき、
メモリアル回廊のオープンまで続けました。
この企画展に合わせて実施したスタンプラリーやバスツアーも満員御礼の状況であり、
メモリアル回廊の構想についても手ごたえを持てるようになりました。

アンケートなどから、周遊した人たちの充実感も知ることができました。
地域を周遊させること、施設が複数点在していてもきっとうまくいくと考えることができたのも、
地域の参加、連携と協働があったからだと考えています。

メモリアル回廊の整備は、地域との連絡調整が問われた仕事でもありました。
前例がないことも多く、そのためやりがいもありました。
他機関と連携することに大きな意義を感じ、多くの人を巻き込むことができました。

中越メモリアル回廊の運営が始まる前に、こういった試行的な事業を多く行い、
地域の人たちがどういったことに関心があるのか、
我々が進めたいことと地域がしたいことに温度差がないのか確認することにもつながりました。
ニーズ調査的な事業を重ねたうえで、
メモリアル回廊整備事業に取り組めた意味は大きかったと思っています。

【執筆】
 福島県立博物館 主任学芸員 筑波匡介(第8話) (元中越メモリアル回廊担当職員)