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155 「道の駅」が災害時に果たす役割と中越地震(その2)

読売新聞所沢支局長 堀井宏悦(元テレビ新潟放送網 監査役)(第5話) 

 
道路寸断がいたるところで起き、余震が繰り返し押し寄せた中越地震では、
倒壊の恐れがない避難所の確保と救援物資をどう届けるかが課題だった。
そして、十日町市の道の駅「クロステン十日町」には、
地震発生直後から地域の方々が次々と避難してきたという。

発生時刻は午後5時56分。
折からの停電で間もなく闇に包まれた十日町市の中心街で明かりがしっかりと灯っていたのが、
自家発電装置を備えた「クロステン」だったそうだ。
間もなく避難者の“駆け込み寺”になり、しばらくすると、
広い駐車場に支援物資が届くようになっていったのだった。

その後、併設の温浴施設にお湯が張られ、被災した人たちの心と体を温めた。
さらに広い駐車場には仮設住宅も建設され、地域の復興を支えた。
中越の地で、手探りで続いた道の駅の防災拠点としてのノウハウは、
東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震などの被災地に受け継がれていった。

最大震度7の地震発生から5週間が過ぎた能登半島では、道路の復旧が少しずつ進み始めている。
支援物資の中継拠点としての役割を道の駅が担い始めたことを、
先日、ボランティアで被災地に入った知人がメールで伝えてくれた。

【執筆】
 読売新聞所沢支局長 堀井宏悦(元テレビ新潟放送網 監査役)(第5話)