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152 中越大震災をアーカイブする(第3回)

長岡市歴史文書館 館長 田中洋史(第3話)

 
平成17年(2005)2月12日、
新潟大学人文学部附属地域文化連携センター主催の
シンポジウム「新潟県中越地震からの文化遺産の救出と現状」が
新潟大学で開催されました。

このシンポジウムで、
長岡市立中央図書館文書資料室の取り組みを報告する機会をいただきました。
震災から間もなく4か月。大雪の長岡からゴム長靴を履いて出かけたら、
五十嵐キャンパスは、雪が少なくて、とても驚いたことを覚えています。

この頃には、文書資料室の「災害対応の二本柱」は、
「被災した歴史的資料の救済」と「震災関連資料の収集」
に定まっていました。

シンポジウムでは、この「二本柱」の現状と課題を報告。
緊急性が高く、先行していた被災歴史資料への取り組みが中心でした。
長岡市史編さんの経験をもとに行った
歴史資料の所在地図作成と廃棄防止の呼びかけ文書などです。

このシンポジウムの記録集は、
矢田俊文編『新潟県中越地震 文化遺産を救え』
(高志書院、2005年6月発行)として刊行されています。

記録集には、震災直後にお世話になった方々、
そして、試行錯誤しながら一緒に取り組んだ同僚の名前が記されています。
20年を経て、こうした人のつながりがあったからこそ、
始めることができた取り組みだったことも、
「中越大震災のアーカイブ」として、後世に伝えておきたい、
そんな思いに駆られています。

 

【執筆】
 長岡市歴史文書館 館長 田中洋史(第3話)