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136 地球の裏側で(その2)

中越市民防災安全士会 会長 岸和義(第2話)

 

日本が中越地方に起きた災害により様々な業種で混乱している中であっても
米国での自動車生産が特段の配慮をしてくれる訳ではありません。

オハイオの工場の顧客である日系自動車メーカーのみならず、
いわゆるビッグスリーの生産ラインを停めてしまうという
恐怖に満ちた想像が頭の中で渦巻きました。

顧客の生産ラインを停めないためには、
一か月ほど前にリリースされた内示計画、一週間前の確定受注など
幾らかの不確定要素を含む「生産指示」に対応して製品を作る訳ですが、
生産のための部品や材料は現地調達を拡大しつつあるものの、
日本依存のものも当然残っていました。

部品や材料の在庫はおおよそ一か月分あるのですが、
自動車メーカーの生産計画の変更や「ある筈の部品や材料が実はなかった」などで
製品を作れないピンチに遭遇することもある訳です。
 
この様に常に「生産を継続するためのリスクを余計に抱える海外生産」は、
自然災害で大きくゆさぶられることになる訳です。

【執筆】
 中越市民防災安全士会 会長 岸和義(第2話)