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129 被災地の人々(その1)

中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第1話):

 

あの瞬間、川口町の高台にある川口町営温泉「和楽美(わらび)の湯」
(現「川口温泉リゾート」の玄関ホールで跳ね上げられた。
多くが転倒し、四つん這いになった。

玄関前駐車場の不自然に並んだ車を後にして、街中の自宅を目指した。
道1本は路面の段差で不通。
別の道へ、軽自動車で低い段差をジャンプして越後川口駅前の東川口へ。

夕暮れの中、明かりは無い。
土ぼこりの匂いに、聴き取れない人の声が重なっていた。
道路上に散らばった木片などを避けながら着いた自宅に家族は居なかった。

隣の衣料品店、食料品店は倒壊し、
向かいの玄関では、高齢の母親を抱えながら避難を急いでいた。

「誰か来てくれ、人が家の下に」との星野敏雄氏の声に、
渡辺勇作氏と駆け付けるが、折れた戸や柱、押して動かせない。
1階に声を掛ける中、余震で隣家の屋根瓦が落ち、私達の足元で割れて飛び散った。

【執筆】
 中越市民防災安全士会 会員 吉原 昌隆(第1話)