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128 北仮設と足湯(その3)

大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第3話):

 

北仮設での足湯は、仮設がなくなるまで毎月行われました。
今になって思うと、この「毎月」というのが、とても大切だった気がします。
足湯が終わると、「今度はいつ来るの?」「〇日です」「待ってるね」
というような会話が行われるようになりました。

大阪から現地に行けない間は、学生たちは手紙を送っていました。
すでに長岡に住んでいた私は、足湯ではないタイミングに訪れた北仮設の集会場で、
ある方に「お前は大阪の人間だろ、この人は知っているか?」と手紙を見せられました。

なじみのある名前で「知っていますよ」と答えたら、
「そうか、よろしく伝えておいてくれ」と手紙をかばんにしまわれました。
なんと、その方は買い物に行かれるにも、でかけるにも、
その手紙をかばんにしのばせておられるというのです。
ああ、彼女たちは現地にいない間も、こうやってつながっているんだなあと感慨深く思いました。

【執筆】
 大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第3話)