長岡市歴史文書館 館長 田中洋史(第2話):
中越大震災で被災した歴史的資料を救済し、
災害復興関連資料の収集を始める時、参考にしたのが、
阪神・淡路大震災における取り組みでした。
『阪神・淡路大震災にかかわる史料保存活動の記録-その時何を考え、行動したのか』
(全史料協近畿部会、平成9年発行)は、
近畿圏の博物館・図書館・文書館などの職員の皆さんの活動記録集です。
たまたまこの本を持っていた私は、書棚から引っ張り出して、
何か真似できることができないかと思って読み始めました。
そのなかに、避難所には様々な貼り紙があったが廃棄してしまったが、
この貼り紙を災害の記録として保存しておけば良かった、
という言葉がありました。
捨てるものが災害の記録になるのかと半信半疑でしたが、
避難所になっていた長岡市立中央図書館の職員に電話をして、
セロハンテープが付いたままで良いから、
不要になった貼り紙を箱に入れて、そのまま取っておいてとお願いしました。
これが災害復興関連資料を収集した初めての経験になりました。
保存した資料は、災害と復興をかたりつぐための記録として、
この後、活用されていくことになります。
【執筆】
長岡市歴史文書館 館長 田中洋史(第2話)