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113 人と防災未来センターの活動 -神戸からみる中越地震の復興の意味(5)-

兵庫県立大学大学院 准教授 澤田雅浩(第5話)(長岡震災アーカイブセンターきおくみらい 館長) :

 

阪神・淡路大震災の教訓を後世に伝え、また今後の防災対策に資するための組織として、
神戸の地に「人と防災未来センター」が2002年4月にオープンしました。
震災の実状を伝える展示施設、その教訓を踏まえた災害への備え方に関する啓発展示など、
国の支援を受けながら本格的かつ大規模な施設です。

そういった展示にも力を入れた施設ですが、それだけではなく、
「阪神・淡路大震災の経験と教訓、学術的な知見や蓄積された研究成果に基づき、
我が国の防災上の課題を的確にとらえ、政府・地方自治体・コミュニティ・企業などの
災害対策や防災政策の立案・推進に資する実践的な防災研究を実施する。
そして、知の新たな体系化と、その学術的価値の確立を先導する。」
ことを目的とし、また若手研究者の育成も目指した研究部門も併設されました。

設立当初に研究員となった当時の若手研究者は、
手探りで研究、研修事業の企画等を進めていましたが、
彼らが災害現場にいくことになった初めての経験が2004年10月に発生した各地の災害でした。

その最初が平成16年台風23号による被災地でした。
10月20日から21日にかけて兵庫県北部豊岡市を中心として、
円山川、出石川からの洪水で市街地が被害を受けたことに対応し、
災害対策本部の支援等に向かうことになりました。

その対応をしているさなかに起きたのが10月23日の中越地震です。
もともと阪神・淡路大震災が契機となった組織であることもあって、
研究員の皆さんは急遽そこから新潟に転戦し、さまざまな災害対応支援に従事することになりました。
ただ、兵庫県の組織でもあることから、まだ大変な状況の県内自治体をほったらかして、
新潟に行ってしまうことに批判的な意見もあったようですが、その取組は現在も引き継がれ、
全国各地の災害で人と防災未来センターに所属する人々が活躍しています。

 

【執筆】
 兵庫県立大学大学院 准教授 澤田雅浩(第5話)

 (長岡震災アーカイブセンターきおくみらい 館長)