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097 台湾大震災(1999)と中越大震災の復興交流(その1)

公益社団法人中越防災安全推進機構 理事長 中林一樹(第5話)  (新潟県中越大震災20年プロジェクト 実行委員長) :

 

2023年12月6日に、台湾内務省消防署(日本の総務省消防庁に相当)からの招聘を受けて、
湾内務省防災セミナー2023の講師として、2019年以来の訪台となった。
テーマは、地域防災計画の改定、高齢社会の防災、事前復興の推進の3題でした。

台湾は、1999年8月17日のトルコ西北地震(マルマラ地震)に引き続き、
1999年9月21日に台湾の中央部で最大13mも陸地が上下に割れ動く活断層地震(甫里地震)が発生し、
台湾山脈の麓や山間の多くの集落が壊滅的に被災する直下型地震災害となりました。

1995年の阪神・淡路大震災、アジアの東西でマルマラ地震と台湾大地震の
3つの直下地震の復興を比較検討する研究チームを立ち上げ、
長岡造形大学の澤田雅浩先生にも加わっていただいた。
まさか5年後に中越地震が起きるなんて考えてもいませんでした。

1998年に東京都では神戸の復興まちづくりをモデルとして「都市復興マニュアル」を
取り纏めていたので、その年の11月に台湾大学で開催されたセミナーで、
事前復興を発表し、マニュアルも同大学の陳亮全先生に渡していました。
陳先生によると、震災直後にそれを熟読して台湾の復興に取り組んだとのことでした。

高齢化が進む山村集落に大学生など若い人を復興まちづくり支援員(重建社区営造員)として
復興基金の援助で送り込み、多くの企業の経済的復興支援とともに、
被災者主体の山村復興に取り組み、都市に流出していた子供たちが回帰して
多様なふるさと観光(グリーンツーリズム)を柱に各集落の活性化を実現していきました。

中越大震災の復興モデルは、阪神・淡路大震災の都市型でなく台湾型の山村型にあると直感し、
澤田先生の新車のランクルで山間の被災地を駆け回らせてもらいました。
(つづく)

 

【執筆】
 公益社団法人中越防災安全推進機構 理事長 中林一樹(第5話)  

 (新潟県中越大震災20年プロジェクト 実行委員長)