「帰ろう山古志へ」というキーワードからは、多くの住民たちが、
例え条件不利であったとしも「山」に帰り暮らしていくとする、
強い意志と覚悟が込められている強烈なメッセージがにじみ出ていました。
故長島忠美氏は、あらゆる機会を通じてこのメッセージを発信し続けました。
山古志で暮らしている高齢者は「山」でしか暮らせない。
住民を山から下ろすことは、中山間地の息の根を止めることになる、と。
一人暮らしの高齢者も含めた全住民を、長岡ニュータウンの仮設住宅に
一本化した意味はここにありました。
地域コミュニティの崩壊を回避し、「帰ろう山古志へ」という具体的な目標を掲げ、
地域が一丸となって前へと進む原動力としたかったのです。
【執筆】
公益財団法人山の暮らし再生機構 元理事長 山口壽道(第6話)