· 

084 北仮設と足湯(その2)

吉椿雅道さんに、当時、長岡市の千手にあった中越復興市民会議のプレハブの2階で
足湯講習会をしてもらったのが2005年の12月のことでした。

現地に断続的に通っていた大阪大学の学生たちで足湯を学びました。
お湯の温度のこと、くるぶしまでお湯につけること、
手のひらをさすることに東洋医学的にどのような意味があるのか。

同時に、足湯をしてもらっているときに、被災者の人からこぼれてくる言葉、
それを受けとめることが大切なんだと学びました。
その言葉をつぶやきと呼んでいる、なにげなくつぶやきから見えるもの、ことがあるのだと。

こうして北仮設で毎月1回の足湯が始まりました。
大阪大学の学生は毎月大阪から夜行列車に乗って。
現地の長岡技術科学大学のVolt of Nuts(ボルト・オブ・ナッツ、通称「ボルナツ」)の
学生たちも加わりました。
この足湯は、北仮設がなくなるまで毎月続けられたのです。

【執筆】
 大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第2話)