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056 全国の雪研究者あつまれ(第3回)

そうだ!雪の研究仲間が日本中に大勢いる。

この焦りと不安な気持ちを訴えよう、そう思ったのです。

地震被災地の無残な風景に雪景色が重なったその日、

10月30日の夜、日本中の雪の研究仲間にその思いを発信したのです。

 

最初に返信を下さったのは、大学の同僚教授でした。

『大学の雑事は誰かがカバーするからしっかりおやりなさい』という励ましの言葉。

 

次に反応して下さったのは、既に定年退官されている大先輩でした。

何をどのように進めたらよいか、何に注意したらよいか、

具体的なコメントをくださったのです。

大学の助手に成りたての頃に大変お世話になった大先輩の、

驚くべき速さの反応に驚くと同時に大変感激しました。

 

そこからは、次から次へと同じ思いを抱いていた研究者から

賛同の声や活動参加の申し出が相次ぎました。

その反響をうけ、メール発信の2日後の11月1日に、調査委員会を発足させること、

その第1回を翌日開催することが電光石火の速さで決まりした。

 

委員会旗揚げのメールは再び日本中の雪の研究者に配信され、

受け取った方からさらに他の関係者へと次々と転送され、

半日足らずの間に日本中を何週も駆け巡ったのです。(つづく)

 

【執筆】
長岡技術科学大学 教授 上村靖司(第3話)
(新潟県中越大震災20年プロジェクト 副実行委員長)