10月23日夜、県の災害対策本部会議が開催された。
前日、花束と拍手で見送られた平山知事が任期最終日の24日を前に
再び登庁することとなった。
25日未明、県庁知事室で平山前知事から泉田新知事への引継ぎが行われる。
当時の私の手帳には、「新知事登庁 9:50」とのメモがあった。
平時なら、その後に形式的な引継ぎとなったのであろうが、
未曾有の大災害に直面した若き新知事の意気込みを窺わせる深夜の一コマとなった。
かくして泉田知事のもとでの災害対策本部が改めてスタートすることとなる。
しかしこれが後の復興まで一貫した泉田イズムを象徴する波乱の幕開けとなった。
全面公開で行われた対策本部会議は大勢の報道陣や関係職員が取り囲む中、
知事と各部局長が一同に会して開催された。
冒頭から知事の独壇場となり、避難所の運営状況をはじめ被災者への緊急支援について、
知事から矢継ぎ早に対応を求められる。
各地の状況把握や県庁内の支援体制整備が十分ではない中で、
いかにベテランの部局長であっても、ひたすら頭を低くしてやり過ごしかないという
重苦しい状況の中で会議は進んだ。
なんとか会議は終了したものの、県幹部の憔悴した表情と、
顔なじみの記者さんの「皆さんよく耐えてますね。」という一言が印象深かった。
【執筆】
元新潟県県民生活・環境部 震災復興支援課長 丸山由明(第2話)